インストラクターをやっていると「先生~‼ 開脚前屈でペタっと床に上半身をつけたいんです!!」とリクエストされることがたびたびあります。これって、生徒さんだけでなく、じつはインストラクターの先生にとっても目標とされる方が多いんですよね。
むしろ、インストラクターの先生なのに開脚ペタっができないなんて先生としてあるまじきコトだとやっきになって取り組む先生もいるほど・・・”(-“”-)”
でもこれはちょっと待った!です。やみくもに開脚前屈ばかりやるのは体にとっては負担以外何者でもありません。
そもそもどうして柔軟性が必要なの?
どうしてやみくもにぺたっと開脚前屈をやってはいけないかの話をする前に、柔軟性をつけると良いコトをお伝えしましょう。
体が硬いと、姿勢が崩れやすくなったり、日常生活を送る上で疲れやすくなったり、運動の際にケガをしやすくなったりといろいろなデメリットが生じます。
なぜかというと、筋肉が硬く、関節の動きが制限されるために、正しい姿勢を維持しにくく、またとっさの動作に対してもレスポンスが遅くなります。筋肉が硬い状態で運動をすると、つっぱり感があるのでケガのリスクも高くなります。体を動かさないと体はどんどん硬くなっていくので、筋肉を動かして血の巡りをよくし、よく使う筋肉とあまり使わない筋肉の差が開かないように、まんべんなく筋肉を動かして、柔軟性をあげることは、動きやすくスムーズな体を作るためにも必要です。
柔軟性をあげて動きやすい筋肉に整えることができれば、日常生活での動きもスムーズになり、その結果、疲れにくい体も手に入るんですよね。
ただ、過度の柔軟性は危険。靭帯がゆるみ股関節は不安定になる可能性大
適度な柔軟性をつけることはメリットというお話をしてきましたが、柔軟性が高過ぎても体にとっては危険な状態になります。
最初の話に戻しますが、ペタっと上半身を床につけたいんです! という要望・・・。確かに、前屈するための筋肉を緩め続ければ、ペタっとつけることはほぼ可能です。でも、ただペタっとつけるために、前屈系のストレッチばかりをやってしまうと体のバランスは崩れます。
ペタリ開脚前屈をするには、股関節まわりの筋肉をゆるめることなのですが、関節まわりの筋肉の柔軟性を高め過ぎると、本来、関節を安定させる役割をする靭帯が緩み過ぎてしまい、関節の安定感が失われます。
さらに! 年齢とともに、関節まわりの安定をサポートする筋肉が衰えていくわけなので、ダブルの悲劇。開脚前屈をやり過ぎて緩んだ靭帯と、加齢で衰えた筋肉とのダブルパンチで、股関節まわりは不安定になり、ケガをしやすくなるどころか、歩くことさえも困難になる可能性が出てきます。
ペタリ開脚前屈に、憧れる女性は(男性も近ごろは増えてきましたね)多いのですが、危険と背中合わせな部分があるということを覚えておいてほしいです。
自分の今の状態に合わせた柔軟性を身に着けて日常をかろやかに闊歩しよう
40代、50代、これから先の運動をするうえで大切なことは、自分に今の体に見合う、エクササイズを選んで、筋力アップ+柔軟性をつけていくことがキモ。
適度な柔軟性と適度な筋力がつけば、日常生活はぐんと過ごしやすくなり、運動をするモチベーションもアップ。体のバランスを意識していくと、肩こり、腰痛予防にもつながっていきます。
でもやっぱり、いつかはペタっと床に上半身をつけて前屈したい!と思う方もきっといますよね。気持ちはとてもよくわかります(それに見た目的にも気持ちよさそう(笑))では、どうしたら安全に、ぺたっと開脚前屈ができるのか・・・・。
正直、上半身を床にペタっとつけることをゴールにしてほしくはないのですが、適度な筋トレ+適度なストレッチをした結果、ペタっとついた・・・と長いスパンで考えていただくことを前提に、体を柔らかくするためのメニューをご紹介しましょう。
股関節まわりを柔らかくするストレッチ、長いスパンで考える! ぺたっと開脚前屈への道
とくに太ももの裏側が硬い人におすすめ!
太ももの裏側に位置するハムストリングが硬くなると、骨盤が後傾したり、歩くときの歩幅が狭くなったりします。骨盤の位置が正しく保てないと、腰痛の原因にもつながりますし、正しく下半身の筋肉が使えなくなるので下半身太りの要因にも。
硬いかたはお風呂上りがおすすめです。両手で支えてもOKですが、さらに硬いかたは両膝を曲げて、タオルを足裏にひっかけてストレッチ。太ももの裏側の筋肉を伸ばすことを意識して行いましょう! 最初は片側30秒ずつ。2~3セット行います。
とくに反り腰の方! 腸腰筋をストレッチ
背骨と骨盤と太ももの骨をつなぐ深い場所にある筋肉が「腸腰筋」。腸腰筋が硬くなると反り腰になったり、筋力が弱くなると骨盤が後傾して猫背になったりする筋肉です。
腸腰筋って、深いところにある筋肉などで普段の生活ではなかなか意識できないのですが、じつは本当に大切な筋肉。
ストレッチ&筋トレしたい筋肉のベスト10に入ります!(勝手にランキングですが、ちょこふぃっとでは、ベスト3にランクインさせたいほど、大事な大事な筋肉です♡)
ストレッチは上記の写真のように、脚のつけ根部を後ろへ伸ばすようにして、しっかりと伸ばしましょう!! 伸ばした次は筋トレもプラス。
腸腰筋はセットで! 伸ばして鍛える♪
腸腰筋を鍛えるときは、仰向けに寝た状態から両端を上下させます。膝を伸ばして、両かかとは床につかないところまで下し、降ろしたら両脚を揃えて上へ。この動きを10回。慣れてきたら2セット行いましょう!!
この腸腰筋のストレッチ&筋トレは、ぽっこりおなか、撃退にも効果が期待できます。期待大の組み合わせです!
太ももの内側が硬い人は内転筋をストレッチ!
同時にハムストリングを鍛えられるので一石二鳥!!
両脚は肩幅より少し広めに開き、四股のポーズ! 背骨を真っすぐにした状態で、お尻を少し後ろに引きます。少し遠くの椅子に座るようなイメージです。膝が直角になるところまでお尻を下したら、骨盤を前後、左右にゆらしてみましょう。10~20回程度ゆらしたら終了。
ちなみに、太ももの裏側を鍛えると、お尻と太ももの間の脂肪をなくす効果もあり。太ももの裏側の筋トレは、かっこいいパンツを履くためにも鍛えたいパートです。
お尻の大きな筋肉をストレッチ!
お尻の大きな筋肉、大殿筋。大殿筋が硬くなると、骨盤が後ろに倒れやすく、股関節の動くが不安定になったり、関節まわりの可動域も悪くなります。デスクワークが多いかたはお尻の筋肉はかちこちに凝っている可能性大。ストレッチしてほぐしましょう!
仰向けの姿勢から、片脚を反対の脚の太ももに乗せます。両手で下になる脚の裏側をつかみ、頭のほうへ引き寄せます。お尻の伸びを感じてください。片側30秒キープ。終わったら反対。時間に余裕がある人は、もう1セット。
さらに効果をあげるなら、股関節まわりのストレッチ! こちらは動画でチェック!!
ぺたり開脚前屈をするには、股関節まわりのストレッチが必須。動画では深いところにある、深層外旋六筋に迫ります!
深層外旋六筋は、文字通り6つの筋肉群で構成されている筋肉。股関節を安定させる働きがある筋肉です。
動画で一緒に練習しましょう♪